最近では男性看護師が増えてきているイメージもありますが、まだまだ「女性の世界」というイメージが強い看護師のお仕事。現在、看護師の約9割は女性です。そのため結婚、妊娠、出産、育児をきっかけに退職するというケースは少なくありません。なかでも「出産・育児」は退職理由に最も多く、次いで「結婚のため」と女性ならではのライフイベントが離職につながっていることがわかります。それ以外にも、家庭の事情や病気などの理由で離職を余儀なくされている方もいらっしゃいます。育児や介護が落ち着くなど、ブランクを経て復職を考えている看護師を取り巻く環境はさまざまです。そんな潜在看護師(資格を持っているにも関わらず、現職の看護師として臨床の現場で働いていない看護師)の現状や復職を目指す看護師が抱える不安、復職準備や研修、おすすめの施設などをご紹介します。
職場復帰を考えている看護師さんは
どんな不安を抱えているの?
看護師として職場復帰したいと思っている方も多くいますが、仕事を離れているブランク期間が長くなればなるほど復職への不安も大きくなります。具体的に、復職を考える看護師さんにはどのような不安があるのでしょうか。
人間関係は大丈夫?
ブランクのある自分も受け入れてくれるかな?
看護師の離職原因としてよく挙げられるのが人間関係です。仕事は一日の大半を占めるものなので、職場で人間関係の悩みを抱えていると、それが本人にとって大きなストレスになることも頷けます。上司や部下との関係だったり、同僚との関係だったり、理由はさまざまです。ブランクのある看護師さんにとっても、職場の人間関係は心配な事柄の一つですよね。病院や施設は組織であり、職場は集団の場です。人が集まればそれだけ関係性が複雑になってきます。職場の年齢層が自分に合っているかどうかや、ブランクのある自分が受け入れてもらえるか等を気にされる方も多くいらっしゃいます。
家事や育児と両立できる?
パートナーの協力は得られる?
知識や技術以外では、実際に生活とのバランスが取れるかを不安に感じる方も多いでしょう。結婚や出産を機に看護師を辞めた方にとって、復帰の際の仕事と家庭の両立は気になるポイントです。特に小さなお子さんがいらっしゃる方は、「子どもを預けてまで働くべき?」、「復帰したときにパートナーの理解と協力は得られる?」と悩んでしまう方も多いでしょう。また、急な子どもの体調不良に対応できるかどうかも気になるところです。とくに女性は、看護師にかかわらず、どの職業であってもそのように考える傾向があるようです。子育ては、家族はもちろん、親戚、近所の人々、保育園の先生など、多くの人にサポートしてもらうのが理想ですよね。周りの協力や子育て向けのサービスを利用するなど、ひとりで頑張りすぎず周囲の協力を得ることが、仕事と子育ての両立のポイントになってきます。 女性の活躍が推進されている時代でありながら、実際は多くの女性が出産や育児をきっかけに働くことを諦めてしまうという現状があります。復帰するかしないかに正解はなく、自分が大丈夫と思えるタイミングで一歩を踏み出してみるとよいでしょう。
前の常識はもう古い?
今の業務内容についていける?
医療業界や看護業界は専門性が高い業界である上に、日々進化を続けています。規模の大きな病院や最先端技術を扱う医療機関に勤務する看護師は、常に最先端の知識や技術を学び、身につけていかなければ、看護師としての業務についていけない場合もあります。看護の現場を離れている期間が長いほど、最新の医療に関する知識や技術についていけるか、不安に感じる方も多いと思います。紙のカルテが電子カルテに変更していたり、数年前には当たり前だった処置方法や考え方が、今では「古い」とされているということも、医療の現場では多々あります。復職後にこのようなギャップを目の当たりにして落ち込んでしまう方や、そのような状況を恐れて復職を踏み切れない方もいるのではないでしょうか。 進歩し続ける医療についていくための努力は、現役の看護職でも必要です。そのため、ブランクのある方は、より多く情報収集し勉強する必要があります。ブランクが何年あると就職できないといった決まりは全くありません!看護師の資格は一生もののため、いつでも復職が可能です。実際に10年・20年のブランクを経て活躍されている方もいらっしゃいます。やる気や努力する姿勢があれば、いつでも復帰は可能です。
最近、体力低下してる?
重労働に耐えられるかな?
若いころは、体力・気力で乗り越えられたことも、年齢を重ねるごとに基本的に体力がなくなっていくため、以前のように夜勤や重労働に対応できるか心配という声もよく聞かれます。
働きやすいのはどんな職場!?
お仕事が久しぶりの看護師さんの次なる就職先
ブランク期間が長い方は、働き慣れるまでに時間がかかってしまう可能性があります。そのため、ブランクを経て復帰する際には職場選びも重要です。忙しすぎない職場や負担が重くない雇用形態から始めるのもよいでしょう。不安が大きい場合はパートタイムから始めて、常勤にシフトしていくという働き方も考えられます。病院かクリニックか、病棟か外来かなど、重要な希望項目と優先順位を明確にしておきましょう。
デイサービス
日勤のみで勤務時間も固定になっているので、毎日同じシフトで勤務が可能です。基本的にゆったりとした職場であることが多く、病院のように急患が入って忙しくなったり、緊迫感で張りつめることもないので、ゆとりを持って働くことができそうです。介護施設は看護職の人数が少ない場合も多く、責任が一人に集中してしまうことも。事前にサポート体制の確認をしておくといいでしょう。
保育園
勤務時間が明確で休みを取りやすいというメリットがあります。カレンダー通りのお休みや、冬季休暇、夏季休暇が取れるところもあります。医療行為を行うことがないので、精神的な負担も少なめです。子ども好きな看護師さんにとっては、子どもの成長を近くで感じられるのも嬉しいポイントです。保育園の場合、看護師が1人ということがほとんどなので、サポートしてくれる他の看護師がいないというデメリットがあるので注意が必要です。
クリニックや診療所
クリニックでは基本的に夜勤がありません。病棟勤務のような体力的な辛さが軽減され、生活リズムが整いやすく、規則正しい生活を送ることができます。クリニックの休診日が休日となるので、スケジュールを立てやすいといったメリットもあります。病院と比較すると件数が多いので、比較的自宅周辺で求人を探すことができます。特に子どもを保育園などに預けて働く場合は、自宅と勤務地の距離が近いと送り迎えに便利なので、子育ての負担を減らすことができます。お休みの取りやすさや担当する業務の幅などを事前チェックしておくと安心です。
慢性期病棟
急性期に比べ、比較的ゆっくりとしたペースで看護が行われる傾向にあります。そのため、復職にあたって技術や知識をじっくり掘り起こし、着実にスキルアップしたいという方におススメです。また、病院以外に転職する道がひらけたり、幅広いスタッフから学びを得られるといったメリットもあります。ライフステージに合わせて長期で働きやすいのも特徴です。急性期に比べるとスタッフが少ないこともあるので、看護基準や勤務体制などをチェックしておきましょう。
健診センター
日勤のみなので、ワークライフバランスが取りやすいことです。1日の予約数が決まっているため、残業もほとんどありません。訪れるのは基本的には健康な人が中心なので、精神的なストレスも少なめです。ルーティンワークがメインになるので、同じ作業を続けられる人に向いています。コミュニケーション能力も活かせる環境があります。夜勤がない分プライベートの自由度は高めですが、収入面は低くなりがちです。休日や給与面など、事前に確認しておきましょう。
備えあれば患いなし!
復職前の看護師さんがやっておいた方がよいこと
看護師として復職するための準備をしておくことで、現場に戻ったときの焦りや不安を減らすことができます。また面接時に、先方に復職に向けてどのような努力をしたか伝えることで、職場復帰への意欲をアピールすることができます。
家族に相談する
早朝出勤や夜勤を行う可能性のある看護職では、家族の協力が不可欠になります。復職前に家族に相談することも大切です。家族の理解が得られないまま復職すると、のちのち思わぬトラブルに繋がってしまうことも考えられます。子どもがいる方は、これまでの生活が変わってくる可能性が高いため、家事の分担や保育園のお迎えなど、具体的に話し合っておくといいですね。
新しい情報を集める
ニュースなどで話題になっている最新の医療情報や基本的な医療・看護に関する情報を集めておきましょう。アプリや本などを利用して勉強したり、看護学生用の学習サイトを利用して、看護師としての基本をもう一度勉強しておくのもよいでしょう。
セミナーや講習会に参加する
セミナーや講習会を利用して最新の医療について学ぶのも復職に役立ちます。有料で行っているものもありますが、国や自治体が行っている無料セミナーなどもあるので、ホームページをチェックしてみましょう。
ナースセンターを活用する
ナースセンターは、1992年に制定された「看護師の人材確保の促進に関する法律」に基づき設置された事業です。47都道府県に必ず1つの都道府県ナースセンターがあり、看護職確保対策に向けた取り組みを行っています。ナースセンターの相談員が、キャリアプランを含めて相談にのってくれます。無料で施設紹介もしてくれるので、相談しながら復職活動が進められます。看護師に特化したセンターなので、看護師の復職事情に詳しいスタッフが対応してくれます。 ※eナースセンター:各都道府県のナースセンターで行っている無料職業紹介を、インターネット上に展開したものがeナースセンターです。看護職(保健師、助産師、看護師、准看護師)、看護職を目指す学生および看護職を採用する求人施設の方は、ナースセンターに直接足を運ばなくても、インターネット上で、登録、検索、紹介依頼などができます。
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