皆さんは働き方改革をご存じでしょうか。
2018年6月に成立し、2019年4月から満を持して改正法がスタートとなりました。
世間で実際に騒がれた項目としては、主な部分では有給取得の義務化でしょうか。
今までは有給取得が出来なくとも大きな問題にはなりませんでしたが、2019年からは5日間の有給取得義務となりました。
(※在籍期間等で適応されない可能性もあり)
違反すると事業所は最大で1日当たり30万円の罰金となり、国の本気度が伺える法改正となりました。
同一労働・同一賃金の原則とは何?
実は今回の働き方改革で追加されたガイドラインでは、『正社員と非正規社員との間の不合理な待遇差の禁止』という項目もございます。一見すると分かる様で結局は分かりにくい“同一労働・同一賃金の原則”
一体これは何なのでしょうか。
ここで示す同一とは正社員とパート職員や派遣社員などの非正規労働者を全て同一の扱いとする事です。
これだけ言われてもよく分かりませんので、少しずつ掘り下げていきましょう。
非正規労働者視点から見た同一労働・同一賃金のメリット
①給与面がアップする
毎年、非正規労働者の数は緩やかに増加しておりますが、その分正社員との給与格差も問題となっております。同一労働・同一賃金により非正規労働者は給与が今より上がる可能性が考えれます。
この事だけで判断すると非正規労働者にとっては歓迎される制度です。
②労働意欲がアップする
給与面が改善されてモチベーションが下がる方はいません。当然の事ながら給与が増えることで雇用側への貢献度がアップします。
何らかの理由により短時間や週に5日間よりも少ない日数で働きたい方にとっては、ライフスタイルと給与面のバランスが取りやすくなります。
③仕事の幅が大きく広がる
働き方改革の中には福利厚生を充実させること以外にも、研修や教育面を強化する事も盛り込まれています。外部研修などで正社員だけでなく非正規労働者も、様々な知識やスキルを身に付けることで今後のキャリアが広がる可能性があります。
④人手不足が軽減される
正社員でなくとも高い給与が得られるのであれば、現在離職されている方などの潜在的労働者の意欲が高まる事で、通常よりも多く雇用する事が出来ます。正社員から見た同一労働・同一賃金のデメリット
非正規労働者にメリットがあるという事は、裏を返せば正社員にはデメリットが発生するという事になります。幾つかピックアップしていきましょう。
①失業率が高くなる可能性がある
同一労働・同一賃金は既にフランスやイギリスなどヨーロッパエリアで実際に施行されている制度です。実はこれらの国は非常に失業率が高い事で知られています。
ヨーロッパの失業率は20%前後ですが、日本ではかなり低い一桁台になっています。
このような事例がありますので、日本の失業率が高くなる事が心配されます。
②正社員の給料が減る可能性がある
非正規労働者の給与面が高くなる事で、人件費がどうしても高くなってしまいます。その為、正社員の人件費が圧迫されてしまい、給与や賞与が少なくなってしまうことが考えられます。
③人員削減が行われてしまう
非正規労働者の給与を上げて、正社員の給与を今まで通り維持する為、人件費を抑える為にリストラが発生してしまうかもしれません。④高いスキルを求められる
同一労働同一賃金では、給料面を個々の能力で上下させていくことになる為、高い給与を得る為には他の方よりも高いレベルでの活躍が必要になってしまいます。最後に
同一労働・同一賃金が実現されることで非正規雇用者の給料アップにはなるでしょう。しかしながら、実際に導入するには様々な問題点があるのも事実です。
今回は法的な拘束力がある有給休暇の義務化とは異なり、特に義務が無いガイドライン案になりますが、今後の情勢次第では有給休暇と同様に法改正される未来があるかもしれません。
正社員・非正規労働者双方に言えることは、どのような状況になったとしても自らのスキルをしっかり高めることで、価値のある人材となり雇用側から優遇される存在を目指していく事が大切であると考えられますね。
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