近年、長時間勤務等の問題、いわゆるブラック企業問題が表面化しやすい情勢になり、企業側も徐々に労働者が働きやすい環境整備を行う必要性が出てきました。
2018年は国会でも様々な議論が行われ、いよいよ2019年4月からスタートする新しい法律がある事はあまり知られていません。
看護師の皆さんは“働き方改革関連法”というものをご存知でしょうか。
実はこの内容が看護師の皆さんにも非常に大きな影響がありますので、内容を確認していきましょう。
看護師さんも知っておきたい働き方改革関連法とは?
成立までの簡単な経緯としては、2018年1月に内閣総理大臣の安倍首相が『働き方改革関連法は国会内にて最重要法案』という方針を発表し、国会に議案が提出された事が始まりです。同年5月、自民公明等の各党が合意する事で、2018年6月29日に働き方改革関連法が成立しました。
適応開始は2019年4月1日から始まりますので、日本にある企業はこの準備期間で労務管理がスムーズに出来る様に準備をしていかなければなりません。
2019年4月から有給取得が義務化されます
働き方改革には幾つかの目玉があるのですが、最も労働者が喜ばしいと感じるのは、間違いなく有給取得の義務化でしょう。年間で10日以上の有給休暇が付与される全ての労働者は、毎年最低でも有給休暇を取得しなければならなくなりました。
有給休暇を殆ど使用出来ている職場環境であれば問題ありませんが、実際のところはなかなか取得する風土ではない為に、多くの有給休暇を使用する事なく失効させているケースも少なくありません。
とは言っても、現場が忙しいからという理由で働き方改革の法律を無視して有給休暇を看護師さんに与えない法人もあるかもしれません。
しかし、働き方改革は名前からは感じにくいですが、かなり強制力のある内容になっているので、守らない法人は以下の通り、非常に痛い目に合います。
場合によっては1,000万円以上の罰金に処せられる!?
そうです、働き方改革を守らない事業所は決して少なくない罰金を科せられる事が決まっています。金額は「従業員一人当たり最大で30万円」。
もし従業員が100人いる病院で2019年4月から有給休暇を5日間付与しなかった場合、単純計算で最大3,000万円もの非常に大きな罰金を支払う必要があります。
もし、このページをご覧いただいている看護師さんの事務長や看護部長が、働き方改革の内容を把握していない場合、むしろ内容を教えてあげる事が親切であると言えますね。
法律を知らないまま2020年になってしまっていきなり罰金を支払う事になる、なんて展開は経営上の観点からも絶対にあってはなりません。
残業時間の上限を設定
今回の働き方改革のもう一つの目玉が残業時間の上限が設定された事です。近年、過酷な残業により不幸な出来事も起きてしまいましたので、国がいよいよ対策に本腰を入れてきましたね。
改正前では残業時間の上限が定められておらず、行政指導しか行われていないのが現実でした。
しかし、改正後は月残業時間45時間が上限になり特別な事情が無い限りは、これを超える事は認められなくなりました。
労使協定で雇用側と従業員の中で合意が得られた場合に限り、以下の残業時間まで延長する事が認められています。
・年間720時間
・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
違反があった場合は関係者が懲役刑に処せられてしまうので、行政指導しか行っていなかった改正前とでは全く状況が異なります。
ただ、残業時間の上限に関しては、施行されるのが大企業からになり中小企業は2020年4月から施行です。
(大企業の区分けとしては、資本金額や従業員数・業態によって異なります)
まとめ
2019年4月から施行される働き方改革。大企業だけではなく、中小企業含め日本の全ての企業で対応が求められます。
従業員のQQL(生活の質)が高まる事から企業の業績も上向きにさせる狙いも秘められているようです。
あまりニュースなどでも話題になっている印象はありませんので、一度ご自身の職場で働き方改革について話し合ってみるもの良いかもしれませんね。
この記事へのコメントはありません。